TKHC

TKHC
TKHC Photo page

2009年5月14日木曜日

昭和30年代

RIMG0284.jpg


僕が生まれる前の、この川口にとても活気がある頃の汎用機。
機械の扱いや、物造りに対する考え方などを教えてくれた、
今は亡きぼくのおじさんの形見。
ぼくにとって、小さい頃からの、憧れの存在だったおじさんは、
小さな町工場を経営し、一人で汎用機を8台動かしていた。
僕が頼むと何でも作ってくれた。
オートバイに乗るようになると、決まって言う口癖があった。
「オートの選手は凄いぞ。乗って、イジって、勝負。お前もオートレーサーになりゃよかったなぁ」だ。
なりたかったけど、オートレーサーへの狭き門はなかなか開かず、
僕も次第に年をとっていった。
年齢というタイムリミットがきてしまった。
いつもろれつが回らなくなるまで、うちの親父と呑んでいたなぁ・・・。
そこでも決まって言う台詞は「俺はな、まーちゃん(当時こう呼ばれてた)のスーパースターだから、なんでも作ってやる。だからバイクの部品でもなんでも、考えろ、そしたら全部カタチにしてやっからな」
そう、僕の「スーパースター」。
かっこ悪い言葉かな、今では。
今時言わないよな。
でも、僕はこの言葉がすごく好きだ。

その後、僕は雑誌を作る仕事から、チョッパーを作る仕事を選んだ。

しかし、開業後、少ししておじさんが倒れて、
僕の考えた部品を作ることが出来なくなった。
僕がハーレーを置いておく倉庫兼工場を、
おじさんが自分の土地に作ってくれていた最中だった。
その工場は未完成のまま、おじさんは亡くなった。
そこで僕が部品を考え、おじさんが制作するということは実現しなかった。

働き盛りの肉体を、日本経済のために犠牲にした年代だ。
タバコ、酒、仕事・・・全てヘビーな人だったなぁ・・・
今、そのおじさんの形見である汎用機の数々は、
未熟者の僕に使われているのである。

天才旋盤工に使われていた機械達・・・

僕がその機械を完全に使いこなすことはないだろうけど、
機械の余生としては、簡単な加工が丁度いいかもしれない。

今日もまた、動力を入れると、薄暗い工場の片隅で、
電源ランプの小さな光が、うっすら光っている・・・


http://www.2kool.jp/

0 件のコメント:

コメントを投稿